和牛のいる生活

北海道で牛飼いの勉強中です。

読了 / 山本文緒「自転しながら公転する」

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あつ~~~~~~~い!信じられないほど暑い十勝です。
エアコンがなく終日暑さに晒されているのはかなりしんどい。
日曜日から涼しくなるようなので、あと少しの辛抱ですね。
扇風機とビール、アイスでしのいでいましたが、炎天下の関東で働く母からのアドバイスで保冷剤を脇に挟んでみたら、す、す、涼しい!!!!!!
一気に体感温度が下がりました。ライフハックだ~。

M牧場では小麦わらの収穫が始まっています。
写真は刈り取り後の小麦畑。小麦わらのロールが点々と並び、北海道らしい風景です。
今日はこのロールを夫と二人三脚でトラックに積んで運ぶ作業を行いました。
トラックで公道を走るのは初めてで緊張しました…
つくづく前職でマニュアル解除しておいてよかったなと感じます。
まあ、まだまだへっぽこ運転手ですが…… 笑

そして、山本文緒「自転しながら公転する」を読み終わりました。
なんか作者名に聞き覚えがあると思ったら、実家に「ファースト・プライオリティー」と「プラナリア」があり、読んだことがあったのを思い出しました。
たぶん母が買ってきたのを勝手に読んだんだと思うのですが、当時は中学生か高校生で、本の中身をいまいち覚えていません。
どちらも20代後半~30代前半が主人公のお話なので、今読むと全然違った印象を受けるんだろうな。

 ※ネタバレを含みます
まず、主人公の32歳アパレル契約社員・都が年齢のわりに幼いと感じました。

・自分の車の車検がいつか知らない(ステッカーの存在も知らない)
・既婚で適齢の女性がいつもは飲むアルコールを断っても何も思わない
・恋人に対して「死ね!」「蘊蓄ウザい!」などの言葉遣い
・誕生日プレゼントの値段を速攻で調べ、寝ている恋人を起こして不相応だと叱りつける
・夜の高速道路に不安を覚えながらも運転し、交代してもらうときに泣く
・速度超過で警察に捕まったときに「事情を離せば早く解放してもらえる」と本気で思う

などのエピソードはちょっと子供っぽいというか、世間知らずだなあと感じました。
都は自分が生活できるだけのお金を自分で稼ぐことができません。
都に限らず、世の中には「養ってくれるパートナーを見つけること」前提で生きている人がたくさんいると思いますが、そうすると貫一のような「養ってくれる」の部分を満たせない(でもパートナーとしては最高な)人と出会ったときに必要以上に悩むことになります。
貫一も自分が世間一般に言われる「素敵な旦那さん」になれないと分かっているから結婚に二の足を踏んでおり、お互い不安を抱えたまま時間だけが過ぎた印象です。
最終的に都は貫一と一緒に生きる道を選び、契約社員と無職から正社員と寿司職人になることができてよかった。
それも貫一のバイト先で働いていたベトナム人・ニャンくんが資産家で都のことを気に入ってくれたのがきっかけだったので、この出会いがなかったらどうなっていたんだろうとも考えてしまいます。

私と夫も学歴に差があり、かつ母が世間体を気にするタイプだったのでそのあたりの都の悩みには共感できました。
はじめて弟に夫をお披露目したあとに言われた「学歴うんぬんは置いといて、愚かな人ではないね」という言葉がとても腑に落ちて、世間において低学歴のイメージが悪いのは、学歴の低さが愚かさと結び付けられているせいなのかなと感じました。
もちろん、学歴が低い人は愚かだと言いたいわけではなく、イメージの話です。文章にするの難しいな…

あと、都が友達カップルの爽やかさに嫉妬する場面も共感できたなあ。
学生時代、どうしようもない相手と付き合っていたとき、後輩が「先輩この待ち受け良くないっすか?これ彼女が描いてくれたんですよー!」と笑顔で見せてきて、「彼女が描いた絵を待ち受けにする」「それを臆せず先輩に自慢できる」というコンボが眩しすぎてしばらく立ち直れなかったのを思い出しました 笑
そう考えると、私の中にも都のような部分はあるんだな。

おもしろかったです。次は渡辺淳一「リラ冷えの街」ですね。
あ~暑い。保冷剤もぬるくなったのでぼちぼち寝ます。おやすみなさい!